つなげる桜――「柴山潟桜周回廊プロジェクト」―― つながる心
「朝顔や一輪深き淵のいろ」 蕪村
蕪村の秀逸の句であると思っています。
俳人、長谷川 櫂著「俳句的生活」の中で、千利休はある年、自分の屋敷の庭に朝顔の花をたくさん咲かせた。その噂を聞いた太閤豊臣秀吉は朝顔の花見がてら利休の屋敷で茶の湯を開かせることにした。
翌朝、秀吉は利休を訪ねたところ、蔓がからんではいるが、花が一輪もない。
憮然として秀吉は茶室に入った。利休が一礼をして手前を始める。ふと、秀吉が床の間を見やると、先ほど入ってきた時はただ闇とばかり思っていた床の間の土塀に竹の花入れが掛けてあり、その口から一筋の蔓の中に今咲いたばかりの藍色の朝顔が一輪浮かび上がっている。
蕪村の墓 京都・金福寺「芭蕉庵」
加賀の千代女
「朝がおや 地にさくことを あぶなかり」
「あさがおに つるべとられて もらい水」
長谷川歌川女
「朝顔や 有明の月を しけれど」
「さそい水 あらばあらばと 蛍かな」
「たたいても 心のしれぬ 西瓜哉」
「涼風や 足音なしに 蚊屋の裾」
「人の気も 動かぬ昼の 蝉の声」
長谷川歌川女の夏の世界。日本海の厳冬の荒波、歌川女の心の疼きも凄いが、夏の表情も実に艶やかさが感じられる。
「涼風や 足音なしに 蚊屋の裾」
何んという色香と、清楚さが感じられるようではありませんか。
夏を涼しく過ごすために、自然とのふれあいが大切ではないでしょうか。
昭和の時代を過ごした世代にとっては、朝顔や団扇、扇子、簾、風鈴、西瓜、瓜、海水浴、蚊取り線香などに夏を感じるのではないでしょうか。
感性とは体験の中に存在する。花も木々も風も水も鳥も昆虫も
日本人の四季を感じさせてくれます。
2012年7月27日
NPO法人 I Love加賀ネット
事務局長 東川 敏夫